桃色アルバム
多目的室。

この狭い部屋の中では、2年の生徒たちによる発表会がおこなわれた。

ケイタたちのグループの発表は、先生らを関心させるものであった。


「おまえら、やればできるじゃないか」
その後の休憩時間。学年主任の佐々木が満足そうに話しかけてきた。
「そっすよ。俺はただの問題児じゃないんスから」
「そうだな。悪かった」

そういいながら、さっきから佐々木の頬は緩みっぱなしである。
よほどうれしいのだろう。

「これからは俺も、胸を張って歩けるもんだ」
そう言って、職員室へともどっていった。


「佐々木にまで調子乗られたら、困るんだよなあ」
「だけど、これで内申はあがったろうよ」
ニヤリとして崎野が言う。

先日の中間テストは、川嶋をぬく6人はガタ落ちだった。
もとから頭がいいわけではないのだが、カバの件といい発表会のことといい、夢中になりすぎて誰も手を付けてはいなかったのだ。
その状態でテストへ挑んだんだから、無理もない。

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