桃色アルバム
「でも、また期末があるぜ」
「あたしは、別にやんないけどね。親はなんにも言わないし」

さとこがニヤリとして言う。

学生は、遊んでなんぼだよ。
これが、さとこの言い分である。
さとこには毎回、感心させられる。

「でも俺は、おふくろにすっげえ怒られたんだぜ」
「それ考えたらさとこん家はいいよな。そんだけ、できる子だと思われてんのかな」

上野とケイタがため息まじりに言うと、さとこが違う違うと顔の前で両手をふった。

「うちの親じゃ、こどものことなんてどうでもいいんだよ。自分たちのことしか考えてないのさ。ま、あんたらみたいにグダグダ言われるよりかマシだけどね」

「川嶋は、どうやって勉強してるの?」

ゆりかが、川嶋の顔を覗き込んだ。
川嶋はケイタらと同じように遊んでいるくせ、成績はかわらず1番だった。

「そうだな。教科書1回くらい読んで・・授業を聞いとくくらいかな」
川嶋が自慢げもなく言う。

「それだけかよ」
もとから頭がいいやつは違うよな、と上野がため息をついた。


「おい、おまえら」
ふいに、後ろのほうから声がした。
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