桃色アルバム
水野たちのアイディアは、先生たちによって却下された。
そういうくだらないことに、部屋が貸せないという。

「残念だったな」
ガッカリしている柳の肩を川嶋がポン、とたたく。

「いや、まだ手はあるぜ」
水野がニヤリとした。

「今日の昼休み、おにごをやるぜ」
「おにごっこなんかして、どうするの?」

ゆりかが不思議そうに水野を見る。

「それで勝負を決めんだよ」
「自由課題とは、なんの関係もねえじゃん」
「まぁ、そうだけどな」

池浦がニヤニヤした顔でケイタを見る。

「こなかったら負け犬とみなすぜ。学年全員に言いふらしてやる」
「卑怯だねえ」

さとこが息を吐く。

「なんとでもいいな。じゃ、今日の昼休みだぞ!!」
またもや勝手に言い残して走っていった。


「あいつらは、いったい何なんだ?」
「自由研究はどうしたんだろうね」
「そういえば・・あいつら全員運動神経よかったよな」

ケイタらは顔を見合わせた。

「ま、なんとかなるさ。こっちには川嶋も渡部も上野もさとこもいるんだ」
崎野が笑いながら言う。
こんなとき、ケイタの名前が出ないのが残念だ。

「わたし、運動オンチだから・・頼むね、みんな」
「まかしときな」

さとこがガッツポーズした。

「でも、向こうは全員運動神経いいだろう。それで見たら7対4だぜ。勝てるのか?」
「ぐだぐだ言うなよ、間宮」
上野が言う。

「負け犬がいやだからってワケじゃねえけど、ケンカ売られたら買わねえと俺のプライドが許さねえ」

ケイタは、ケンカなのか、と言おうとしたが、あえてやめておいた。
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