桃色アルバム
「・・・はぁ、はぁ」

ケイタは、がくりとひざに手をつき、頬をつたい流れ落ちる汗を右手でぬぐった。
あれからずっと走り回っている。
何回もおににタッチされては仲間が助けに来る。
しかも、谷川たちときたら、やたらと足が速い。

ケイタは必死に地面を踏み、ふらふらしながら歩いた。
そのとき、足がすごいスピードで地を蹴る音が聞こえてきた。

驚いて振り返ると、池浦がニヤリとしながら猛スピードで走ってくる。
その手が、ケイタに伸びた。

その瞬間。
池浦の姿が視界からきえた。


「あら、ごめんよ。足が長くってさ」
横を見ると、さとこが足を出していた。
こちらにむかってウィンクする。

それは反則だろ、と笑いながら言うと、池浦がフラフラしながら起き上がった。
ひざ小僧からは血がだらだらと流れ出ている。


「間宮、はやく逃げな」
そう言うとさとこはくるりと向きをかえて走っていった。
ケイタもまた、走り出した。






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表紙・目次

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