桃色アルバム

グラウンドの真ん中までくると、周りの様子がよく見て取れた。

さとこは、すぐにターゲットを決めたのか、坂田を追い掛け回している。
上野と崎野も、それぞれ水野、柳と狙いを定めていた。

ゆりかはもうつかまっていて、ゼイゼイと腰をついて肩を上下させ、渡部がなんとか助けようと注意をうかがっている。

谷川と吉田は、2人がかりで川嶋をはさみうちにしている、が、するりと抜けられていた。


見ると、池浦が唇をかみ締めてケイタのところへ走ってくる。
我慢しているが痛みには耐えられないのか、少し右足を引きずっていた。



「いてぇっ」

瞬間、声の響いたほうを見ると、崎野が腹をおさえてうずくまっていた。

「崎野!?」
すぐに渡部が駆け寄ろうとしたが、その前に谷川があらわれた。

「おまえ、崎野になにしたんだ!!」
渡部が思いっきり谷川と吉田をニラむ。

ふたりは一瞬ひるんだが、負けじとにらみかえした。


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