桃色アルバム
「はぁ・・・ケホッ」
ケイタたちは全身で息をし、地面にごろんと寝転んでいた。
この終了のチャイムが鳴るまでの20分間。
ケイタたちは走り続けていた。
汗だくでほてった体に、冷たい地面の温度がここちよかった。
その光景を見ていた者の激しい拍手がケイタたちを包み込む。
「おわったな」
横で寝転んでいた上野がケイタを見た。
「結果は、どうなんだ?」
ケイタが聞くと、向こうのほうからさとこと川嶋が走ってきた。
「勝ったよ。あたしら、あいつらに勝ったんだ」
ニヤリとして言うさとこの後ろで、水野たちがくやしそうに顔をゆがめている。
「それにしても、よくやったよな」
川嶋がにっこりすると、校舎からは女子のキャー、という声が再び響いてきた。
「なかなか楽しかったぜ。なっ」
そう言ってケイタと上野が顔を見合わせると、自然に笑いがふきだしてきた。
それは、グラウンド中に広がり、さとこと川嶋、ぐったりと横たわっている崎野とゆりかにも伝染した。
その光景を、笑っているケイタの顔を、ほかの生徒たちは不思議そうに見ていた。
ケイタはもう、そんなことが気にならなくなっていた。
どんな目で見られたっていい。
これから、本当の自分をわかってくれれば、それでいい。
あいつらも、いつか慣れるだろ。
ケイタは、そう思うようになっていたのだ。