桃色アルバム
「・・・いてぇ」

登校途中で会った上野と崎野と、ケイタは歩いていた。
崎野がさっきから、顔をしかめている。

「さっきから何うなってんだよ」
「筋肉痛だ。そうだろ?」
ケイタが言うと、崎野はこっくりうなずいた。

「昨日のあれでさ。風呂でもんだんだけど、ぜんぜんマシになんねえんだ」
崎野が痛そうにふくらはぎをさする。

「まだまだ運動不足だな」
「そういう上野はどうなんだよ」

「俺か?俺はもと陸上部だから平気だ」
「おまえ、陸上部だったのか?なんでやめたんだよ」

ケイタが不思議そうに言うと、上野がニヤリと笑った。

「おまえとおんなじさ。何かこう、わくわくするようなものがなかったんだよ」
「俺もサッカー部だったけど、すぐやめちゃったな」

崎野が空を仰いだ。
その横顔が、朝日に照らされている。

「そういうのって、プレーしているやつらによるのかもな」
ケイタが言うと、ふたりとも「そうかもしれねえ」とうなずいた。

そのとき、遠くのほうでチャイムが鳴り響いた。

「やべえ」

3人は、同時に走り出した。
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