桃色アルバム
「おそいぜ」

とびらを開けると、上野が真っ先にケイタに近寄ってきた。
渡部たちは、川嶋を囲んで問題を必死に解いている。

「座りなよ」
さとこに言われて、ケイタは上野のとなりに腰をおろした。

「おまえ、数学わかるか?」
上野がケイタのかばんの中をのぞきこむ。

「さっぱりだ」
そう言いながら、数学の問題集を取り出した。

「なんでこんなに宿題があるんだよ」
ぶつぶつ言いながらも、崎野は問題をなんとか解いている。

「なんだ、数学できるんだ」
ゆりかが横からのぞきこむ。

「崎野はいちおう塾に行ってるもんな」
渡部がにやにやして崎野を見る。

「おまえの塾は、廃校になった小学校にあるのか?」
川嶋まで崎野をおちょくりだした。

「それを言ってくれるなよ」
崎野がふたりをニラむと、笑いがあふれた。
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