桃色アルバム
「なんで笑うんだよ。それより、宿題しないといけねえんじゃねえのか」

そう言われて、ケイタはカバンの中を見た。
宿題がどっさり入っている。
うんざりしてくるほどの量だ。

「川嶋、おまえ答え分かるだろ」
「うつす気じゃないだろうな」
川嶋のじとっとした目線に、渡部が苦笑した。

「うつすっても、これだけの量はキツイぜ」
「うちの先公はなに考えてんだ」
さとこが教科書をバシッとつくえにたたきつけた。

「でも、やらなきゃマズいでしょ」
ため息をつきながら、ゆりかが教材を取り出した。
マイネームで名前を書き始める。

「でもなぁ・・・・」
「ゆりかの言うとおり、やるしかないんだ。ほら、教科書ひらけよ」

川嶋に言われてケイタはしぶしぶ教科書をあけた。
字がずらりと並んでいて、見ているだけで頭がいたくなる。

「数学は俺の苦手分野だ。間宮、俺の頭が爆発したらちゃんと処理してくれよな」
そう言うと、上野は大の字になって寝転んでしまった。

「あたしは、理科が苦手なんだよね。だれか教えてよ」
「おれ、理科はけっこういけるぜ」
そう言うと、崎野はさとこのとなりに行き、てきぱきと説明しだした。

渡部とゆりかは、川嶋の説明を必死に聞いている。
横を見ると、上野が目を瞑っていた。

ケイタは深くため息をつき、シャープペンを握った。
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