桃色アルバム
「ただいまー・・・」

みんなと騒いだあと、家に帰るともう8時をまわっていた。
おそるおそるドアをあけると、母親が仁王立ちで立っている。

「ケイタ、最近こんなおそくまで何やってるの?」
じろりとケイタをニラむ。

「夏休みの勉強してたんだ。悪いかよ」
リビングにおいてあるおにぎりをつかみ、口にほりなげる。

「どこでやってるのよ。家でやればいいじゃない」
「友達といっしょにやってんだよ」

投げやりに言うと、母親がきょとんとした顔を見せた。

「あんた、友達なんていたの?」

そのことばにカチンとき、「悪いかよ」と言ってバタンと部屋のドアを閉めた。

イライラしながらカバンの中身をベッドにぶちまける。
そのとき、カリカリと部屋のドアをかく音が聞こえた。

ドアを開けると、犬のドンがハッハッととびらの前でちょこんとおすわりしている。

「何やってんだよ」

そう言って頭をなでてやると、うれしそうにしっぽを振った。
そんな愛犬の愛らしい姿を見ていると、自然に笑みがこぼれた。
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