桃色アルバム
ピンポーン・・

チャイムをならすと、すぐに川嶋が出てきた。

「上がれよ」

そう言われ、リビングに入ると上野、さとこ、ゆりかの3人が来ていた。

「渡部と崎野はまだか?」
「渡部はただの遅刻だろうけど、崎野は塾だって」
「さすがに、一回も行かないのはマズイでしょ。今日から夏期講習だから、最初の日くらいはいっとかないと」

ゆりかが大変だよね、という顔で笑いかけてくる。

そのとき、チャイムが鳴って渡部の声が聞こえた。
体がでかいせいか、声もでかい。

「わりィ、遅れちまった。これ、差し入れだ」
そう言って袋を差し出す。

「ジュースだ」
その場の全員から、袋に手が伸びた。

「近くにばあちゃん家があるから、寄ったんだ」
「そういえば渡部んとこのばあさんち、酒屋だったな」
「助かったよ。あたし、干からびるとこだったからね」

さとこが言うと、みんな笑い出した。

「じゃ、崎野がこられなかったのが残念だけど、そろそろやるか」

そう言うと、ケイタは教材を広げた。
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