桃色アルバム
「間宮。花火しないのか?」
石段に座り、庭で騒いでいる仲間たちを見ていると、上野が隣に腰を下ろした。
「するけどさ。こうして見てるのも、なかなか楽しいもんだぜ」
「そうか?」
上野がとなりにあったポテチをつまんだ。
「花火って、こんなに楽しかったかな」
ケイタがぽつりと言うと、ポテチをほお張ったまま上野が振り向く。
「そうだな」
星が点々とうつる夜空を上野が仰ぐ。
「さっきおまえが言ってたようにさ、人間によるんじゃねえの?俺らとやるから、トランプだって何だって、楽しいと思えたのかもしれねえな」
なんちゃって、と笑い、ケイタに線香花火を差し出した。
「見てるのも楽しいかもしんねえけど、やるほうがおもしれえぜ。来いよ」
―上野らしいな。
そう思いながら、ケイタは線香花火を受け取った。