桃色アルバム
わいわいと騒いでいると、思いついたようにさとこが手をうった。

「ねえ、肝試ししようよ」
「肝試し?」
「そ。桜ヶ丘広場の近くにさ、やたら広い墓場があるじゃん。そこですんだよ」
「だけどさ。ほかの人に迷惑じゃねえのか。そこらへん、ちゃんと考えてあんのかよ」
「なんだい崎野。もしかして、怖いとか?」

さとこがニヤニヤして横目で崎野を見る。

「ふざけんなよ、さとこ。怖いわけねえじゃん。なあ?」

ボーと成り行きを見ていたケイタにいきなり振られて、とっさに「うん」とうなずいた。


「よっしゃあ、決まりだね。あそこは結構こわいからね。覚悟しときなよ」

さとこが浴衣のすそをまくり、自転車をまたぎながらニヤリと振り返った。
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