桃色アルバム
ドンドンと太鼓の音が聞こえる桜ヶ丘広場のとなりの墓場。
ケイタは初めて、ここの墓場が大きな木々に囲まれていることを知った。

「森ってわけじゃないんだけどさ・・・」

ゆりかが身を震わせて言った。

「なんか、絵本でよく見る暗黒な森みたいなカンジだよね」
「ああ・・いいカンジじぇねえか」

渡部はゆりかとは逆に、興奮で身を震わせている。
暗い中でも分かるほど、目がキラキラしている。

ケイタたちは自転車を邪魔にならないようにわきに止め、大きな墓場の前に立った。
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