桃色アルバム
すぐ近くなはずなのに、やけに子供の騒ぐ声が遠くに聞こえる。

ふいに、墓場の奥のほうから声が聞こえたような気がして、身震いした。

「なんだ間宮。こわいのか?震えてんぞ」
「ちがう。武者震いだ」
無理やり強がって見せた。

「じゃ、どうする?」
「2人1組とか。よくあるパターンだよな」
「でも、ここにいるのは7人だよ。ひとりどうする?」
「誰かひとりで行けよ」
「いやよ。肝試しでひとりぼっちだなんて、もし私がひとりになったら死んじゃうもん」

本当にそうなるかもしれない、というほど、ゆりかの顔は真っ青になっていた。



「じゃあ、私が入ってもよろしいでしょうか?」
いきなり背後で声が聞こえた。

驚いて振り向くと、色とりどりの美しい浴衣を着て、遠慮がちにひとりの少女が立っていた。
ケイタたちと同じ年くらいだろうか、もしくはもう少し上かもしれない。



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