ちょっと、ひと息つきませんか？
　「あ～あ、つまんないなぁ～」
　そう呟くのは春休みを利用し祖父の店''喫茶店ちょこ''にウェイトレスとしてバイトに来ている結衣であった。
　「こらっ。そう文句ばっか言うとったら、給料出さんぞ」
　「ふんっこんなに、お客さんが来ないんやったら給料なんて出るんだかー」
　「ほんなら、ええとこ（バイト先）探せ。身内んとこで済ませようとするなんてろくな大人にならへんわ」
　「チッ。すぐ弱味につけ込みやがってー」
　身内同士の醜い言い争いが繰り広げられていると、玄関の鈴が小気味良いリズムで鳴り客の知らせを二人に伝えた。
　「いらしゃいませぇ～」
　普段より２オクターブ上がった二人の応対は、入店した客の目も普段より見開かれたがすぐに、気を取り戻し
　「あ、窓の席ええですか？」
　と希望の席を希望したのは、クセっ毛で細身のカジュアルです男性だった。
　「ええよ。好きなとこ座りー」
　「ありがとー」
　そう笑顔でそう返事した男性にマスターは、ちょっと違和感を覚えた。右頬がうっすら赤見を帯びており笑顔もひきつっていた。
野次馬根性、お節介焼きなど限りないマスターのセンサーが鳴り響いた。
< 14 / 19 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop