ちょっと、ひと息つきませんか?
 ''これは、なんかある''
 そう思案している最中にも、結衣は男性に声を掛けていた。
 「ご注文は、お決まりでしょうか?」
 「カフェオレのホットでお願いします」
 「かしこまりました。カフェオレのホットですね。少々お待ちください」
 そう言い残しカウンターに戻ってきた結衣は
 「はあ~かっこええ。今時の塩顔男子やわ~。ちょっとたれ目なんとクセっ毛なとこがええわ。私らの学校にはいないタイプや」
 「なんや?塩顔って……」
 「顔立ちがくっきりしている感じやなくて、肌も白く髭もないような中性的なイケメン。こう言えば分かる?」
 「せやったら、おれも塩顔やんけ?」
 「おじいちゃんのは、えびす顔!!」
 マスターと結衣の底辺スレスレの言い争いの合間にもカフェオレができあがった。
 「ほい、カフェオレ。届けたあと、休憩に入り」
 「え~?あの人と話そう思ってんのに~」
 「せんでええ! できるときに休憩しなさい」
 「は~い。せやったら……はい」
 と手のひらをマスターに出す。
 「なんや……」
 「お昼代♥」
 「はあ~」
 孫の笑顔に勝てずに、幾らか手渡す。
 「ありがとう♥あっ彼、しっかりキープしといてねっ」
 「なんのこっちゃ!!」

 結衣が休憩に入ったあとの店内は、微かな
有線のBGMとサイフォンからのコーヒーを抽出する音に包まれ、程よい静けさを演出していた。
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