ちょっと、ひと息つきませんか？

　「これ使いー」
　とマスターは、冷えたおしぼりを男性に手渡す。
　「　？　」
　「ちょっとは、（赤み）マシになんで」
　そう言われ、ようやく自分の顔の違和感を思い出したように苦笑を浮かべ
　「ありがとうございますー」
　おしぼりを受け取り右頬に当てる。
　「ゆっくりしていきー」
　会釈で答え男性は、目を閉じ静かに座っていた。何かを落ち着かせるようにー。
　しばらくして、眼を開けた彼はすっかり冷めてしまったカフェオレを一気に飲み干しタチアガッタ。その時に、自分の胸に手を当てほっと一息付くのをマスターは、見逃さなかった。
　「マスター、おあいそをー」
　「おおきに。４２０円ですー。もう、大丈夫なんか？」
　「あ、はい……だいぶ、落ち着きましたわ」
　「ほな、よかったー」
　「マスター……」
　「 　？　」
　「また、寄らせてもらってもええですか？」
　「全然かまへんよ。今後もご贔屓にー」
　マスターの言葉にニッコリ笑い男性は店を後にした。以前に、大人しい地味な男の子と来た男性に間違いなかった。確か''健太郎''と言われていたはず……そうマスターが考えに耽っていると、昼休憩から結衣が帰って来た。