ちょっと、ひと息つきませんか?
 「せや、今度翔が気になってる映画あったら行ったらええやん」
 「うん。またええのあったら声かけるわ」
 「はあ!?お前、それ俺にいうてんの?」
 「健太郎以外に誰がおんねん?」
 どうやら、爽やかイケメンは健太郎、地味イケメンは翔と呼ばれているらしかった。
 「とぼけんな!!晴美さんに決まってるやんけ!!」
 「え……え~っ!?」
 「なにが''え~!?やねん。俺が気づいてないって思ったんけ!?」
 「え…いや、だって…」
 「あんな。お前が俺の誘いだけで俺んとこに入ったん違うのバレバレやねん。初めの施設見学で、晴美さんを見てのお前の表情ですぐわかったわ!!」
話題は、最新映画から地味イケメン翔の恋愛話へと華を咲かせていた。
 「…そうなんや」
 「男がしょぼくれんな!!気色悪い!!」
 「ごめん…」
 「で、どうすんな?」
 「?」
 「晴美さんを映画に誘う件や!!」
 「…………」
 「おい、翔-」
 「…………」
 「おいって!!」
 「えー!!!!!?」
 この店に入って一番の大声を翔は出した。どちらかといえば、翔にとってはハードルの高い話をである。
 「い、いやそんなん無理やって!僕が晴美さんをなんて…まともに話したこともないし」
 案の定、翔は慌ただしく手をぶんぶんと振り拒む。
 「そんなん、これから幾らでも同じ職場やし話せるやろ?」
 「そうやけどー」
 「お前、好きなんやろ?せやったら、話して仲良うなって映画に誘うっていうのが、セオリーやんか」
 「な、なるほど……」
 「で、どうすんのや?」
 「…どないしよ?」
 「そんなん、昼休憩かなんかで聞けるやろ?趣味とかその時に聞くねん」
 「で、でもー」
 「あ?」
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