ちょっと、ひと息つきませんか?
 「映画興味なかったら?''2、3時間もじっとできへん。苦手''やってならへん?」
 「せやったら、レジャーとかあるやろ?ボウリングとか誘ったらええねん」
 「''人の多いとこ無理''って、言われたらどないしよ?身体、動かすしんどいって言われたらどないしよ?」
 「 ……ほな、カラオケは?部屋に入ったら大丈夫やんけ?」
 「''あたし、音痴やから行きたない''って言われたらどないするん!?」
 「……食事とか」
 「''ダイエット中やから、無理''とか''あの料理無理''とかあるやん!!」
 「ほな、ドライブとかあるやんけ!!」
 「''あたし、車の運転苦手やねん''ってなったら、どないするん!?」
 「アホ!!運転するのは、お前や!!てかっさっきからグチグチと……あんな、彼女の好きなことや嫌いなことを把握すんために彼女と話しすんやないかい!!
 そんで、互いに楽しめそうなもんを見つけてプランを練んねん。そして、デートに行く!!やる前から、消極的になってどないすんねん!!」
 「ご、ごめん…」
 「ええか、翔-」
 声のトーンを落とし
 「今日、無理だった。じゃ、明日にしょうなんて甘い考え捨てや。その日一日を無にしてもうたら、お前はその日を殺したことになる。それくらいの心構えでいくんや。で、今日を無駄にせんためにどないするか?明日はなにをするべきか?
行動するしかないやろ?声かけんねん!!
晴美さんに!!ええな!?」
 「え、え、でも……」
 「ええな!!!!」
 「う、うん。わかった」
 そこで、翔への恋愛指南は終了したみたいで、あとは他愛ない話しで盛り上がっていた。
 「ほな、そろそろ帰るか」
 「うん」
 「ええか、頑張れや!!翔!!」
 「うん!!」
  二人は、会計を済ませ
 「マスター、おおきに」
 「……ありがとーございます」
  帰る二人に、手のひらサイズの緑色の箱を渡した。明日、晴美さんていう女性に声をかける翔。それを影で応援する健太郎を思い浮かべ、手渡した中身はまん丸いミントチョコレートである。ミントは、心を落ち着かせる効果があるが、二人に教えることはない。
 「マスター、これは?」
 「おっちゃんからのプレゼントや」
 「?」
 「二人とも、頑張りや」
  マスターは、そうニッコリと微笑んだ。
                 続


 
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