ちょっと、ひと息つきませんか?
 ''あかん…''
 マスターの悪い人格が目を覚まし出した。野次馬根性という名の…
 ''話し聞け!!''
 ''あかん''
 ''聞け''
 ''あかんて''
 ''興味ないんか?''
 '' ………''
 「あの、味気に入らなんだですかね?」
 マスターの声にようやく、現実に戻ったみたいにハッと顔を上げ
 「えっあっすいません!!つい考えごとを………。全然、美味しいです、コーヒー。本当、ごめんなさい!!」
 慌てて身振り手振りで話すその女性は、とても愛嬌があった。
 「なんか、悩んではるんですか?よかったら、話してみませんか?聞くだけやったらできますさかい」
 「えっやっぱりそう見えていますか?」
 「見えてる」
 「そうなんですね。周りが見えてるんでしたら、私が思っている以上になっているんですね……」
 「ぼくでよかったら、聴きますよ。どないです?話してみてるうちに、自分の気持ちの整理できるしグチやったら吐き出すとスッキリするんと違う?」
 「そんな、今日会ったばかりの方に……」
 「ええよ、ええよ。ちょっと、お節介な聴きたがりのおっちゃんんいグチを聴いてもらってるつもりで話してみ」
 「……お言葉に甘えてもいいですか?」
 「かまへん、かまへん」
 「私ー」
 彼女は、思いを一つずつ確かめるように話し始めた。 
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