ふたりの言葉。



「じゃあ、そこ座って」



若い看護師さんがそう言って、俺の腕を掴んで注射器を射し込む。



「なんで……こんな、検査……」



「大丈夫ですよ。きっと」



看護師さんは俺にそう言って、注射器を抜いてブラッドバンを腕に当てた。



きっとって……きっとって何だよ。



「俺の体、何か……なってるんですか?」



「まだ、分からないわ。次の検査しないとね。

腫瘍マーカー検査は、この血液でも調べられるから、ちょっと検査結果待っててね」



看護師さんはそれだけ言うと、どこかへ行ってしまった。



なんで、誰も教えてくれないんだよ。


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