ふたりの言葉。



『大丈夫?』



突然耳に届いた優しい男の子の声に、私は俯いていた顔を上げて目を見開いた。



声の主である男の子は、私の机に腕を伸ばしている状態でしゃがんでいて、顔が少ししか見えない。



伸ばしている方の腕には、さっき視界の端に見えたクマのパペットだった。



『泣かないで』



ヒョコッと下から顔を出した男の子は、クマのパペットを動かしながらそう言った。


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