ふたりの言葉。
「そんな風になってほしくない……って……?」
いきなり、私の左手を握る力が強くなったと思えば、若葉は少しだけ震えていた。
「わ、かば?」
「そんな風になってほしくないって……っ……じゃあ、病院側がどうにかしろよ!!
俺、末期なんだろ!?どうにも、ならねぇじゃん!
何が、死んで欲しくないだの、元気になって欲しいだの……。だったら、どうにかしてくれよ!!」
若葉は、病院内なんて関係なく、廊下で大声でそう叫んだ。
周りにいた看護師さんが、「どうしました?」なんて言いながら近づいてくるのを無視して、
若葉は私の左手をギュッと強く握ると走り出した。