ふたりの言葉。



「…みんなして、死ぬなって……俺だって死にたくないわ」



若葉はボソッとそう呟くと、私の手を引いて歩き出した。



向かう先は、きっと若葉が病院なんかじゃなくて、本当に帰るべき場所。



若葉は、さっきムカイさんにあんなことを叫んでいた。



『そんな風になってほしくないって……っ……じゃあ、病院側がどうにかしろよ!!

俺、末期なんだろ!?どうにも、ならねぇじゃん!

何が、死んで欲しくないだの、元気になって欲しいだの……。だったら、どうにかしてくれよ!!』



そりゃ、そうだ。



若葉が怒ってしまう理由もわかる。


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