ふたりの言葉。



私が……若葉のために、思い出を作ってあげないとどうするのよ。



「若葉、私行きたいところがあるの。

遊園地よりも先に行きたいところ。

しっかり、連れてってよ」



「当たり前じゃん」



若葉は、そう言って私から体を離した。



そして、目の前の若葉の帰るはずの場所……若葉が、育ってきた場所。



大切な、思い出が詰まっている家に「ありがとう」と礼をして、私たちは歩き出した。


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