ふたりの言葉。



「そのことなら、もういいよ。
だって、向井さんの言う通りだから」



ただ、俺が認めたくなかっただけで。



外に出るのはダメとは言われてなかったけれど、さすがに末期なのに、自分でも馬鹿だと思ってる。



「向井さん、ごめんね。俺、生意気でさ」



「そんなの、前からでしょう」



向井さんは笑ってそう言った。
そして、ご飯の乗ったおぼんを持って病室を出ていった。


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