ふたりの言葉。



「若葉……!」



私が走って着いた先は、屋上。



そこに、若葉の姿があった。



「……琴?」



屋上のフェンスに背中をあずけながらスマホを弄っていた若葉は、私の声に顔を上げた。



「ねぇ、若葉」



「……なに?」



それでも……私がもう一度話しかけると、冷たく私から目線をそらしてそう答える若葉。



若葉と1回も目が合わない。



それだけで、ズキッと胸が痛む。


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