半分のキモチ
「リサ!」


昇降口でリサを見つける名前を呼ぶと、リサの足が止まる。
ハァ、ハァと上がる息を落ち着かせようと大きく息を吸って吐くと


「ごめん」


ポツリとリサが呟く。


「……あんなこと、するつもりじゃなかった」

「あぁ、」

「ただ、ただ……あの子が勇馬のこと、好きって聞いてたから……」

「……あぁ、」

「最悪、だよね……わた、」


リサが言う前に「行くぞ」とリサの腕を掴んだ。


「え?行く、行くって?」

「買い物」

「え?」

「約束したろ」

「そ、だけど、良いの?」

「何が?」


リサは「何でも、ない」と首を振ってもう何も言わなかった。


リサが宮本のことを気にしていることは分かっていたけど、
俺がリサを追いかけている時点で、宮本のことを心配する資格なんてない。


それ以前に、宮本は心配さえさせてくれない。

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