半分のキモチ
「辛かったら肩によりかかりなよ」

「……ごめん、ね」

「ん?俺がしたいからしてるだけし。今、必死に宮本の隙につけ込んでる途中だから」


かっちゃんはそう笑うと窓の外に視線を向けた。


かっちゃんの居る右側がじんわりと温かい。
人の温もりって暖かくて安心する。


コツンとかっちゃんの肩に頭を乗せると、かっちゃんがチラッ私を見たのが分かった。
それを知らないふりをして瞳を閉じた。


寝ているわけじゃないから、話しかけられたら話すのに、
降りる駅に着くまでかっちゃんは何も話しかけてこなかった。


アナウンスが流れ「宮本」とかっちゃんが私に声をかけ「んっ、」と瞳を開けた。


「降りる駅だろう」


窓の外には見慣れた景色。


学校で清水とバカ笑いした時も
好きだと気付いた時も
抱きしめられて泣いた時も


変わらないこの景色を見て、
変わらない自分の気持ちを感じて、
変わらないけど、
どうしようもないけど、


また明日は笑おう。
そう思って降りて家まで帰っていた。


でも今日はそうは思えない……

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