半分のキモチ
「帰りたくない……」


今日はまだ帰れない。
明日も笑おうなんて思えない。


立ち上がらない私をかっちゃんはジッと見ている。
そして、プシューとドアが閉まりガタンと電車は揺れまた走り出した。


「……ごめん」


俯く私の頭をかっちゃんはポンポンと触れると、私の頭を自分の肩にもたれさすようにするとまた視線を窓の外に向けた。


何も聞かれないことにホッとした。
何も話さないことにホッとした。


一人で居たいと思いながらも、そばにかっちゃんが居てくれたことにホッとした。
清水を好きな私を責めず、それでもそばにかっちゃんが居てくれたことにホッとした。

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