半分のキモチ
私がいくら泣いてもかっちゃんは「よし、よし、」と子供をあやすように髪を撫でてくれる。
ズズーっと鼻をすすると「鼻、垂れてるのか、」と苦笑いを浮かべる。


かっちゃんの前では、感情を出して良いんだと思った。
楽しいなら、嬉しいなら、大口を開けて笑えるんだ。
悲しいなら、切ないなら、涙を流して泣けるんだ。


だんだんと落ち着いて行くと「もう、良いの?」と私の顔を覗き込む。


きっと酷い顔をしている……


思い切り泣いたことが、急に恥ずかしくなって

「あ、あんまり、見ないで」

顔を隠すと

「何で?何で?良い顔してるのに」

「し、してないでしょ!こんだけ泣いたら」

「してる!してる!素直に泣けた良い顔。こんだけ泣いたんだ。また笑えるよ」


優しく笑うと「帰るか」とかっちゃんが私の手を握る。
私は無言で頷き、かっちゃんと手を繋いで駅まで歩いた。

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