半分のキモチ
「え?」

「だから、ラブソング歌えるのって聞いてんの」

「あっ、あぁ。歌える!歌える!当たり前じゃん!なんなら今歌う?」


かっちゃんはそう言うと大声で歌い出した。
ラブソングなのに大声で……
切ないはずなのに笑ってしまう。


「何笑ってんだよ」

「いや、だってさ。ラブソングだよの、」

「そうだよ。俺が宮本に歌うのにラブソング以外あるかよ」

「何それ」

「じゃあ、次は……」


かっちゃんは嬉しそうに私と繋いでいた手をブンブン振りながら、また大声でラブソングを歌う。


そのラブソングを私も鼻歌で一緒に歌う。


「おっ、宮本も知ってるんだ。この歌」

「うん。まぁ、ね」


良く知ってる。
良く一人で泣きながら聞いていた歌だから。


なのに不思議。
今は涙なんて出ない。
同じ歌なのに、全く違う歌に感じる。


「俺、この歌好きなんだよな」

「……私も好き」


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