半分のキモチ
分かってるから困るんじゃんよ。
知り合いが困ってる。だから助ける。
その程度だって分かっていたとしても、嬉しいと思ってしまう。


嬉しいと思ってしまってもその先はない。
それを知っていても、やっぱり嬉しいと思ってしまう。


清水に背中を向け、もう話すことはないと意思表示をする。
そんな私の後ろからチッと舌打ちが聞こえた。


この雰囲気に一緒に居る京子にも三上君にも悪いと思っても、もう清水と話す気分にはなれない。


「ごめんな。宮本、俺らはあっちに行くから。ほら、清水」

「あ?あぁ」


三上君は私達に声をかけて、清水の腕を掴んで私達から離れて行くように、ステージの方へ歩いて行った。


清水と三上君の姿が人込みで見えなくなってから「愛子、大丈夫?」と京子が私の顔を覗き込んだ。


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