半分のキモチ
りさのことはちゃんと想ってる。
りさがこれ以上、宮本に何かするとは思わないけど……
確率がない訳じゃない。
確率は至って低いだけ。


りさのそばには誰かが居てやらないと、りさは内に秘め身動きが出来なくなる。
その誰かが今は俺じゃないとダメだって分かっただけだ。


りさは宮本のようには笑えない。
辛くても泣かない宮本。
辛いと泣けないりさ。


宮本には泣いて欲しくないと願い。
りさには泣いて欲しいと願う。


「……清水が決めたなら、でも」


三上の視線をそらすように「分かってるよ」と呟いてステージに視線を向けた。


分かってる。
もう宮本には関わらない。
その方が良い。


三上が言っていたように、宮本と"友達"なんて俺の錯覚だったのかもしれない。
"友達"って思っていた想いが、結局は宮本を泣かせることしか出来なかったんだからな。


ワーだのキャーだの騒がしい観客の声も、今の俺の耳には何処か遠くに感じていた。


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