半分のキモチ
「愛ちゃん衣装なんだけど、」

「ん?何?何?」

「男子のはこれで……女子のは……」


あっちでも、こっちでも宮本を呼ぶ。


「宮本!」


また宮本が呼ばれ「清水、ちゃんと塗り直してよ」と俺に念を押し離れて行く。
ペンキをピンクから赤に塗り直す俺の視界の隅には、楽しそうに笑っている宮本がいる。


そんな宮本を少し離れたところから克巳も見ていた。


気にしないように俺はペンキを塗り直して


「宮本」と久しぶりに名前を呼んだ。


宮本は少し驚いた顔を俺に向ける。


「塗り直したけど」

「どれ?」


宮本は俺が塗り直した看板を見て「やっぱり、赤が良いでしょ」と得意げに笑った。


悔しいけど確かに宮本が言うようにピンクより赤だな。

 
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