半分のキモチ
「何、笑ってんの?」

「いや、別に」

「仕事はまだあるんだからね。早く看板終わりにしてよね」

「分かってるよ」


久しぶりにまともに話した。
それだけなのに、胸が軽くなる。
ゆっくりと穏やかな気持ちになる。


「よしっ!」


俺はまたその場に座り看板を仕上げることにした。


準備も順調に進んで行く。
一人で仕切る宮本のおかげかもしれない。


文化祭まで後二日。


「愛子見て!見て!」


中山が笑いながら克巳を教室に連れて来た。


「か、可愛い……よ」

「可愛くないだろう。明らかに笑ってるだろう」

「あっ、うん。ゴメン。でもお客さんは入りそうじゃん」


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