半分のキモチ
「克巳。似合うじゃん」


教室の隅で飾りつけの折り紙を折りながら克巳に声をかけると、


「人事だと思いやがって、」

「っつーか、どっからその格好で来たんだよ」

「び、美術室」


美術室は向かいにある特別棟だ。
その間、さらしもののような扱いをされた克巳に同情する。
だけど「良い宣伝になったな」と笑ってやった。


「マジ、すっげー恥ずかしいんだけど、」


俺は死んでも嫌だ。
こんな格好するなら、最後の文化祭だろうが休んでいたろう。


ピンクのフリフリのメイドの格好。
白いハイソックス。
髪は丁寧にピンで止めてある。


それに比べ女は。黒いズボンに白いシャツ。
シャツの上には黒いベスト。
そしてカフェエプロン。


この差はなんだ。


まぁ、俺には克巳が言うように人事だ。
思う存分笑ってやるよ。


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