半分のキモチ
「じゃあ、私は教室に戻るから」


中山が立ち上がると「清水君は愛子についててあげてよ」と俺を見下ろして笑う。


「俺?」

「良いじゃん。準備サボれるんだし」

「それは有りがたいけどな。こう言うのは克巳の役だろう」

「かっちゃんは買い出しで直帰。始めからそう言う予定だったから。今日はその役は代役で清水君」

「……後で、宮本と克巳に文句言われても知らねーからな」

「大丈夫!大丈夫!じゃあ、よろしくね」


中山はそう言って保健室を出て言った。


それまで黙っていた保険医が「青春だね」と瞳を細め俺を見ていた。


「なんすか?」

「いや、誰を好きとか嫌いとかってさ。純粋に言えてるのって今のうちだけだからね」

「……だから?」

「だから、自分の気持ちに素直になった方が良いってこと。だいたい恋愛に正解なんてないんだから、沢山悩んで出した答えが自分の正解なんだよ」


保険医は何かを思い出すように窓の外に視線を向けてから、また俺に視線を戻し「6時までは職員室に居るから、宮本さん起きたら呼びに来てね」と保健室から出て行った。


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