半分のキモチ
「愛子!打ち上げ行くでしょ?」

「行く!行く!」

「駅前のカラオケだって」

「またカラオケ?」

「仕方ないじゃん。制服なんだし」

「確かに……」

「みんな直で行くって言うけど愛子は?」

「あ……後から行く」

「どっかよるの?」

「よるって言うか、ちょっと屋上に」

「屋上?」

「制服、最後だしこの制服で学校を見納めしておこうと思って」


全部が最後。

この制服を着て学校に来ることはもうない。
この制服を着て廊下を笑って歩くこともない。
この制服を涙で濡らすこともない。


「そっか、じゃあ先に行ってるね」

「うん。分かった」


京子と教室で別れ私は屋上へ向かった。


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