半分のキモチ
開けにくい屋上のドアを開けると冷たい風が私の前髪を揺らす。
その寒さに「さむっ」とマフラーに顔を半分隠し、屋上のフェンスまで歩いた。


校庭からは笑い声が聞こえ、あちこちで花束を持っている皆がそれぞれの別れをしていた。


ここには沢山の思い出が詰まってる。
玄関先にある何本かある桜の木。
クラスの記念撮影は決まってあそこだった。
写真を撮る時に、清水が眩しいと機嫌が悪くなったのを思い出して笑みが漏れた。


特別棟に行く渡り廊下。
プール脇の緑色のフェンス。
中庭の植え込み。


何処を見ても、そこには清水の姿が浮かぶ……


どれだけ好きだったんだよ……


じんわり涙が浮かぶ……


この気持ちも最後にしよう。
全部ここに置いて行こう……


< 241 / 250 >

この作品をシェア

pagetop