半分のキモチ
また違う曲のイントロが流れると「あっ俺、俺」と清水がマイクを握る。

俺、俺詐欺かよ。
つっこみながら清水の歌を聞いた。

こんな盛り上がってる時にチョイスする曲じゃないよ。

メロウな曲に泣きたくなるような歌詞。

曲が終わると真っすぐ私の所へ来て「どうよ。俺の歌」と私の隣に座った。

「下手ではないんじゃん」

「なんだよその感想」


清水はフッと笑いまたさっきの歌を歌い出す。
周りの五月蝿い音の中でもはっきりと聞こえる。


「君に幸せあれってな、」

「何それ……」

「何ってそのまんまだよ」

「私に言ってんの?」


横に座って居る清水を真っすぐ見つめた。


< 29 / 250 >

この作品をシェア

pagetop