半分のキモチ
「かっちゃんもやるね」

隣に居る京子が私の肩を叩く。
今の出来事を理解しきれていない私は京子に返す言葉がなかった。


「かっちゃん、格好良かったね」

「あ、うん」

「ライブ初めてだったけど、めっちゃ楽しかった」

「うん」

「愛子、固まってる」


クスクスと笑う京子に「だ、だってさ!」と言うと「宮本!」とステージ裏から汗だくのかっちゃんが私を呼んだ。


まだ会場に居る女の子達の視線がかっちゃんに向く。
キャーキャーと騒ぐ周りなんて見えていないように、かっちゃんの視線は私だけに向けられていた。


「今から打ち上げなんだけど、宮本らも来いよ」

「え?良いの?行きたい!行こうよ愛子」

「あっ、でも私は……」

「楽しかったでしょ?」


戸惑う私の顔をかっちゃんが覗き込む。


「楽しかったけど」

「楽しいのが一番。メンバーからも了解もらっちゃったし」


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