半分のキモチ
思い出すのは去年の夏休み前……


むせ返るような暑さ。
五月蝿いくらいの蝉の声。


学校帰りの駅までの道。
数歩前を歩く清水と違うクラスの女子。


どう見たって偶然会って歩いている雰囲気じゃない。


教室では見せない優しい瞳を隣を歩くその女子へ向け清水は笑う。
それにその女子も答えるように清水に視線を向け笑う。


胸の奥がザワザワ騒がしい。
こんなに暑いのに、体の体温が一気に失って行く。


私は二人が視界から消えるように俯いて歩いた。
自分の茶色いローファーとアスファルトの道しか見えないように。


二人との距離が少しでも離れるように、
ゆっくり……
ゆっくり……
歩いた。



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