半分のキモチ
かっちゃんがニヤッと笑って両腕を広げた。


「何?」と私が首を傾げると「約束したじゃん」と笑う。


「約束?」

「泣きたいなら胸貸すって」

「何言ってんのよ」


バンっとかっちゃんの胸を笑って叩いた。


「泣いてないでしょ」

「そう?泣きたいのかと思って」


私の胸の奥にある気持ちを見るように、かっちゃんが私の瞳を真っすぐ見つめる。


「勘繰り過ぎ。そんな泣き虫じゃないし」

「なら良いけど、一人では泣かせないから」

かっちゃんの言葉に胸が詰まる。

「ありがとう」そう答えた私は笑えてただろうか。

「俺は優しいから」


そう言って「清水荒れてんな~」と笑いながら清水の方へ歩いて行った。


かっちゃんの背中越しに清水と視線が合った。


何か言いたそうに口元が開き、
でもギュッと口元に力を入れて私から視線をそらした。


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