この手を離さない
「諦めなきゃいけないと思う?光輝のこと、忘れなきゃいけないの?」



ようやく落ち着きを取り戻した頃、困らせるだけだと分かっていながら、2人に詰め寄った。



理沙は、小さくため息をつき、



「本音としては諦めることを勧めたい。障害者の人を差別するわけじゃないけど、現実として大変なことが山積みだと思うよ。車いすで生活するってことは、例えば移動すること1つとっても今までとは全然違うものになるじゃない?光輝が奈美に言ったように、彼女である前に介護者になるっていうのも本当だよ。苦労すると思うよ」



と彼女らしい落ち着いた態度で言った。


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