この手を離さない
輝く明日はすぐそこに
翌日、私は病院まで光輝を迎えに行き、そのまま2人で体育館に向かった。
最後に顔を合わせた日は私が振られた日だったから、当然だけどまだ気まずくて会話はほとんど無い。
光輝の方はその気まずさに加えて、久しぶりに目にするバスケへの期待や不安が入り混じっているようで、表情は険しかった。
一度は諦めたバスケット、また出来るかもしれないのは嬉しい。
でも、車椅子に乗って行うプレーはどんなものなのか、ハンディに合わせて簡単なルールになっているのか、未知の世界の不安もある。
そんな複雑な心境を持て余し口を閉ざしているように見えた。
それでもまた会えたことが嬉しくて、言葉なく体育館を目指す道中も私は幸せだった。
そして体育館までの道すがら、光輝はほとんど私の手を借りることはなかった。
病院からの徒歩圏内という近距離だからというのもあるが、すっかり車いす生活に順応している。
光輝はちゃんと前に進んでいるんだ。
そう思うと、私まで身の引き締まるような思いがした。
車椅子バスケ、光輝も始められるといいね。