この手を離さない
黙って話を聞いていた光輝は、突然拳を固くしてテーブルをたたいた。



「本当に余計だよ!だからおまえ最近来なかったのかよ?いいか奈美!こんな奴らの言うこと聞く必要ないから、これからも病院来いよ!」



「会いに……行っていいの……?」



思わず光輝の顔を凝視する。




「来いって言ってんの!おまえが来ないと、俺が……寂しくなるだろ!おまえの煮物、待ってるから」



「光輝ぃ……」



嬉しくて、胸がいっぱいで、私はまた光輝の名前を呼ぶのが精一杯だった。




「ばか!何泣いてんだよ!言っとくけど、こんなこっ恥ずかしいセリフ二度と言わないからな!」



光輝の両親が、うなずき合いそっとリビングを出て行くのが分かった。



< 162 / 191 >

この作品をシェア

pagetop