この手を離さない
中は当然だけど誰もいなくてがらんとしている。



ついさっきまで神父様がいた場所がよく見える1番前の席に、光輝と並んで腰掛けた。



「未央きれいだったね」



「うん」




自分から教会に来たいと言った光輝は、なぜか無口になっている。



「あれ~? 未だに未練たらたらだったりする?」




ニヤニヤしながら光輝の顔を覗き込んだ。



「これ、おまえにやるよ」



私の冷やかしを無視し、光輝は戦利品、さっき受け止めたブーケを差し出した。




< 180 / 191 >

この作品をシェア

pagetop