この手を離さない
「ずっと、見えてなかったんだよな」




「光輝……?」




「いつの間にか、俺の中で奈美の存在がどんどん大きくなっていったんだ。事故にあう前は、ずっと兄妹みたいな存在だと思ってた。だからあの時、おまえからキレ気味に好きだって叫ばれた時は驚いたし、その反面病院に来なくなった時すごく寂しかったんだぜ?」



「何年前の話よ……」



どうして急に、こんな昔話をするのだろうか。



いいことなのか、辛い出来事の前触れなのかすら分からず不安になる。



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